コラム本文
利益相反行為
Q 先日、夫が亡くなりました。相続人は、私(妻)、長男、次男の三人ですが、長男、次男は未成年です。この場合、私が母親として、長男、及び次男の代理人となって、遺産分割協議をして良いのでしょうか?
A 結論から申し上げますと、ご質問のような場合、母親は未成年の子供たちの代理人にはなれず、長男、及び次男にそれぞれ特別代理人を選任してもらうこと必要が必要です。
未成年者が契約などの法律行為を行う場合、親権者が法定代理人となって法律行為を行うことが原則ですが、遺産分割協議の場合、母親と未成年の子供は同じ相続人という立場になりますので、利益が相反することになります。この利益の対立は、2つの場面で生じます。一つ目は、母親と子供の利益の衝突、つまり母親の相続分が増加すれば、子供の相続分は減少することです。二つ目は、子供間の利益の衝突、つまり一方の子供の相続分が増加すれば、他方の子供の相続分は減少することです。これらを利益相反行為と言います。
親子間といえども、法律では、利益相反行為は禁じられていますので、子供の権利を守るため家庭裁判所に特別代理人の選任の申立てを行い、特別代理人を選任してもらう必要がございます。特別代理人が選任されたら、その代理人が遺産分割協議へ参加し、遺産分割協議を行います。
なお、利益相反行為にならない場合は、親権者は法定代理人として遺産分割協議に参加することになります。
まとめ
遺産分割協議では、利益相反行為は禁じられています。子供が未成年の場合、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらうことが必要です。