コラム本文
Vol.48 配偶者居住権の新設
Q 相続法が改正され、配偶者居住権というものが新設されると聞きました。具体的にはどのような制度なのでしょうか?
A 2020年4月1日より、配偶者居住権という新たな制度が施行されます。この制度は、自宅など配偶者が相続時に居住していた被相続人名義の建物を対象として、配偶者が今まで通り居住建物に住み続けられるように、居住建物の使用を認めることを内容とする制度です。
例えば、被相続人の財産が自宅(1,000万円)と預貯金(2,000万円)であった場合、現行制度の法定相続分では、配偶者が自宅を相続すると、預貯金は500万円しか相続できません。そうなると、住むところには困りませんが、今後の生活費が足りるかどうか不安ということがありました。
そこで、改正後は、配偶者居住権を設定して、今まで通り自宅に住み続ける権利とその他の財産を取得できるようにしました。上記の例で言うと、配偶者居住権を500万円とした場合、配偶者は、今まで通り自宅に住み続けられる権利(配偶者居住権)と預貯金財産の中から1,000万円を取得できるようになります。
この配偶者居住権は、遺産分割協議で設定することもできますし、また、被相続人が遺言書で配偶者居住権を取得させるようにすることもできます。
まとめ
2020年4月1日より、配偶者居住権が新設されます。これにより、配偶者は、今まで通り自宅に住み続けながら、その他の相続財産の中からより多くを取得できるようになります。