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Vol.57 文字が書けない場合の遺言書の残し方
Q 遺言書を書きたいと思うのですが、高齢のため、文字を書くことが困難です。自分の名前も書くことができません。このような場合でも遺言書を残すことは可能でしょうか?
A 結論から申し上げますと、公正証書で遺言を作成することが可能です。
遺言書には大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、自筆の場合は、すべての文章を遺言者の自筆で書かなければならず、高齢者の方にはとても負担が大きく困難な場合があります。
このような場合は、遺言書を公正証書で作成することで解決することができます。公正証書遺言は、公証人が遺言者から遺言内容を聞き、公証人が作成します。その後、証人二人の立会の下、遺言者に読み聞かせ、遺言者が署名をし作成することが原則です。しかし、遺言者が高齢者の場合や、身体に障害があって文字が書けない場合は、公証人が遺言者に代わって署名することが認められています。このようにすれば、遺言者は、遺言を作成したいとの意思があり、遺言の内容をきちんと理解していれば、たとえ文字が書けなくても遺言書を残すことが可能です。
また、身体が悪く、公証役場へ赴くことが困難な場合は、費用はかかりますが、公証人に出張を依頼することもでき、ご自宅や介護施設などでの作成が可能です。ただし、公証人には管轄があり出張範囲が決められていますので事前の確認が必要です。
まとめ
公正証書遺言は、文字が書けなくても作成することが可能です。また、ご自宅や介護施設などへの出張作成も可能です。